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平成25年予算特別委員会全部の補足質疑( 3月14日)

日本初がんに関する教育と子宮頸がんワクチンの有効性

○根岸光洋委員  ありがとうございます。よろしくお願いします。私のほうからは、がん対策について、何度か出ましたけど、もう一度お伺いしたいと思います。

22年の12月に制定された都内初となるがん対策推進条例、これが23年4月1日施行されました。その中には、特筆すべき事項として、日本初のがんに対する教育というのがうたわれたということで、私たちも小学校、授業を見学、視察をさせていただきまして、大変にすばらしい取り組みだなと思っております。そのことについてちょっと若干伺いたいと思います。

そもそもがんに対する教育に取り組もうとした経緯、ねらいというのについて簡単に御説明ください。

○山本教育指導課長  24年より、今、本区の特徴として取り組んでいるがんに関する教育でございますが、その経緯につきましては23年4月、御指摘のがん対策推進条例、これが策定されたことがまず第一でございます。背景として、日本人の2人に1人ががんになると言われているけれども、そのがんの検診受診率が低い等々、こうした背景に基づいて、条例の中では、区長は教育委員会と連携してという文言を入れていただきましたので、私どものミッションとして、このがんに関する教育については現在推進をしているところでございます。

○根岸光洋委員  あと、独自の学習教材の開発ということで、これも全国から注目を集めて、視察も多数見えていると伺っています。この教材の特徴について。

○山本教育指導課長  教育委員会として何ができるかということを検討した折に、通常ですとがんについて取り入れてねと。そのための資料をお配りしますというようなことをやるんですけれども、ちょっと待てよということで、教育委員会が取り組みをするんだったらば、各学校が授業を展開しやすいように教材開発に踏み込むべきではないかと、そのように判断をいたしました。そこで、授業の中で具体的に電子黒板等を活用して、具体的に画面を見せながら、また動画を見せながら授業展開ができる教材、そして、指導者にとっては配慮点等々も示した手引きも同時に開発をしたものでございます。

各学校ではこれを大変活用していただいて、一番うれしい誤算だったのは、ここにとどまらずに、独自の工夫を凝らしていただいて、よりよいものがどんどんでき上がっている、そのように見えるところが大変私ども喜んでいるところでございます。

○根岸光洋委員  教材の中身を私たちも見させていただきまして、授業も実際受けさせていただいて、特にがんになったこと、かかったことのある方が実際に教材の中でも出てきましたし、そういう方が直接いらっしゃって子どもたちに、私はがんになったんだよということでお話しされながら、今は元気でこうやって頑張っているんだということを間近に子どもたちが接したということについても、すごくすばらしい内容だったなと思うんですね。

ただ一方、この教材、大変に難しいと思うんですね。というのは、中にはがんでお亡くなりになった家族の方や、また、今治療されている家族がいたり、そういう意味では大変に配慮が必要だなということも感じたんですけど、この辺についてどういった見解でやられているのか。

○山本教育指導課長  まず御質問の後半のほうですけれども、確かにそうした心配、配慮は、この授業では大変慎重に行う必要があるなと考えております。実際に今年度取り組もうとした学校で、事前に学級だより、学年だより等を使って、こうした授業をやりますけれども、もし何か御心配の向きがありましたらお寄せくださいというようなことを投げかけると、実は自分が今がんで療養中なんだけれども、授業としてやっていただくのは構わないと。しかし、自分が療養中であるということを出さないでいただきたいという、そういう願いのもとに実施をした授業であるとか、そうした授業をやりますと言ったところ、子どもたちの身近に2人ほど、実はこのがんに罹患している、あるいはお亡くなりになってしまったという方がいて、結果として、その学級では、ことしは実施をしないほうがよかろうと判断をしたところがございます。そうした形で十分な配慮が必要。

ただ、そうとはいっても、今の日本のこの情勢を考えたときには、この授業をやらない理由はないなというふうに考えていますので、また工夫をしてまいりたいと考えております。

○根岸光洋委員  ありがとうございます。本当にそういう意味で配慮が必要でありますけど、ただ、避けて通れないというか、課題としては、話題というか、学んでいかなくちゃいけない重要な内容であると思います。

また一方、家庭への手紙ということで、最後、授業の中でお子さんが学んだことについて、お父さんやお母さん、またおじいちゃん、おばあちゃんに対して手紙ということで、それも何件か発表してもらいました。中には、お父さん、お酒を余り飲まないでねとか、たばこを吸うとがんになるからやめてくださいとか、そういう切実な家庭の事情がわかるようなお手紙もありまして、大変すばらしいなということは思いました。ぜひこれからもこのがんに関する教育をさらに進めていただきたいなと思うんですね。

その中で、特に中学生、小学校6年生と中学3年生に行った授業と伺っていますけど、このがん教育の中にも位置づけられていますけど、子宮頸がんワクチンの接種についても実は学習するところがございます。これについてはこの委員会でも何度も取り上げられましたけども、こういった保護者の皆さんの不安の声とか、またこのワクチンに対する副反応とか、この委員会でも出ましたけど、そういったこともやはりこのがん教育をしながら、家族で話し合う中で出てくるのかなということは思うんですが、保健所のほうにお聞きしたいんですけど、子宮頸がんワクチンの接種が70%ぐらいだと伺っていますけど、残りの30%の方が受けられなかった、この辺についての理由というのは何かつかんでいらっしゃいますでしょうか。

○田中健康推進課長  子宮頸がん予防ワクチンの接種率が今のところおおむね70%ということでございますけれども、やはり同じく中学1年生を今対象にやっております麻疹、風疹のワクチンの接種率も80%ぐらいでございます。アンケート等をとったわけではございませんが、中学生になりますと、やはり部活動ですとかさまざまお子さん自身の習い事ですとか塾とかというのもあると思いますけれども、なかなかスケジュールが合わなくて、接種に行くのが難しかったりですとか、あるいはやはり赤ちゃんと違って無理やり連れていくということができませんので、本人がきちんと理解をしないと接種に行けないというようなこともあるのかと思っております。

 子宮頸がんワクチン接種と副反応を心配する保護者への対応

○根岸光洋委員  わかりました。いろいろ理由があると思いますけど、実はこの議会の中でも、この子宮頸がんワクチンの公費助成については、22年の10月の一般会計補正予算の中で取り上げられまして、可決して、その年から中学校、その当時は中学校女子の全員でしたけども、接種が始まって約2年がたつということでございます。その中に、いわゆる可決に反対ということで反対討論された議員がいらっしゃいました。

その中身を申し上げますと、賛成できない大きな理由として、子宮頸がんワクチン接種助成事業経費がこの補正予算に載っているからですと。さきの定例会で私以外の全議員の方々が、子宮頸がんワクチンの公費助成推進に賛成をいたしましたと。私はこのワクチンの危険性をさまざまな観点から主張し、公費助成を反対をいたしましたということから、さらに厚生労働省の医系技監の論文を活用して、第1に、子宮頸がんワクチンと呼ぶに足りる効能がないと、このようにまず1つ言っています。

それから、性交渉によって感染するので、性教育の必要が生じると。子宮頸がんワクチンを打てば子宮頸がんにならないと誤解して、性道徳が乱れる可能性があると。こういうことも心配していると。またさらに、安全性がまだ担保されていない。また、4つ目として、子宮頸がんについては啓発と検診率の向上で予防ができるがんであると。わざわざ高額なワクチンを接種するのはどういうことなんだろうかと。こういうことで、全く意味もなく、むしろ正しい公金の使い方ではないと私は確信していますと、このように反対討論を述べられた議員がいらっしゃいました。

これについても、この委員会でも随分さまざま、ワクチンの有効性とか副反応についてもありましたけども、改めて保健所のほうから、こういった不安の声があるのも事実でございますので、今現在としてこの子宮頸がんワクチンについて効能、また安全性についてはどういった見解があるのか、改めてお伺いしたいと思います。

○田中健康推進課長  子宮頸がん予防ワクチンにつきましては、もちろん有効性、安全性が確認されているからこそ、このたびの予防接種法の改正におきましても、新たに定期の予防接種に加えるという方向で国としても進んでいるものでございます。有効性につきましては、2006年から、かなり世界の多くの国々で使用されておりまして、WHO等も有効性があると考えております。

ヒトパピローマウイルスが子宮に感染をしてから実際にがんになるまでは10年以上要すると言われておりますので、実際に本当にがんが減るかどうかというのは、これからの検証ということになるわけでございますけれども、ワクチンが感染を予防する、またその効果がデータとして8年ぐらいはもう確認をされておりますし、推定としては20年以上もつであろうということも言われております。

また、安全性につきましては、2006年からそのように世界じゅうで使われておりまして、重大な懸念はないとWHOも考えておりますし、国としても、日本で使われるようになってから副反応報告等を検証した上で、安全性に懸念はないというふうに見解を出しております。

○根岸光洋委員  ありがとうございます。それと、さらにおっしゃっているのは、この結論として、効果の持続期間がわからないワクチンを接種せずとも、意識の啓発によって若いころからの定期的な検診率が向上すれば、子宮頸がんはほとんど完全に予防できるのですと。そして、若者の性道徳の乱れを立て直していくことこそが有効な対策であること断言しますと、このように述べていらっしゃるんですけど、がんの教育をされている中で、教育委員会としてこの見解をどう思われるか。

○山本教育指導課長  実際に指導している場面の中では、中学生たちは、男子も女子も、このがんに関する教育の内容、すなわち検診率の向上であるとか、生活習慣の改善、少しでもリスクを下げることができるならば、そのワクチンを接種すること等については素直に理解をしているようでございます。

一方で、御心配ということで御指摘されている性に関する問題行動等につきましては、別の場面で指導しているところでもございますし、また近年の調査によりますと、そうした性に関する問題行動等については、そもそもが少し減少しているというところがありますので、私どもはがんに関する教育とそれから性に関する問題等については一応立て分けて、しっかりと両面から指導してまいりたいと考えております。

○根岸光洋委員  では、まとめさせていただきますけど、今回のこのがんに関する教育についても、がんの仕組みや予防に対する正しい知識を学んで、児童・生徒だけでなく家族でがんの予防について考える、また子宮頸がんワクチンの接種なども、子どもだけでは理解しにくいものを親子で一緒に考える絶好の機会であると、こういうような経緯がございます。

意識の啓発とかそういう非科学的なものと検診を組み合わせれば完全に予防できるというのは、またちょっと今、時代にそぐわないんじゃないかなということも思いますが、ただ、そういうことも、実は保護者の中でもそういう声があるというのも事実でございますので、ぜひ今後ワクチン接種と検診と、そしてがん教育と、さらに早期発見、適切な治療を受けることによって、がんの罹患率を減らし、生涯にわたって健康な体づくりを推進することが大変重要だと思いますので、これからもがん教育、さらにがん対策について豊島区としても積極的に推進していただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

○三田教育長  がんに関する教育、ありがとうございます。私どもも、今委員御指摘のとおり、この教材開発は完成されたものではございませんので、そうした子どもたちの心配事や保護者の心配事も踏まえて、今年度の成果と課題をしっかりとまとめて、また教材や授業に反映してまいりたいと思っております。

また、この取り組みにつきましては、おかげさまで、きのうも、例えば石川県の金沢市でこの授業をやりましたと。現地のNHKや報道機関が報道されましたということで、私もその報告レポートをいただいたりしまして、着実に東京都も動き始めておりますし、国も少しこのがんについての教育はしっかりと取り組んでいく必要があるんじゃないかというような、そういう動きも私ども聞いておりますので、今後ますますこうしたことについての必要性、それから、実践的に耐えられるものということが求められてくると思っておりますので、しっかりと実践を通してやってまいりたいと思います。

きのうは区内の大塚病院で副院長が研修用に使うということで50部、教材を欲しいというようなこともありまして、大変反響を呼んでいるかなと思っております。

以上でございます。