平成23年 3月 8日予算特別委員会、全部の補足質疑

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がん対策-子宮頸がんワクチン、ヒトパピローマウイルス等ワクチン接種費用助成とがん教育

 

根岸光洋委員  よろしくお願いいたします。私も、今、委員から出たワクチンのことと関連するのですけれども、がん対策ということで全般についてお伺いをしたいと思います。

昨日、国では参議院の予算委員会が行われまして、我が党のがん対策本部長である松あきらさんが質問されていました。国内で年間30万人以上の方ががんで亡くなると。特にその中で、胃がんについてお話をされていました。胃がんについては死亡の中で2位だと、特に日本を初め、韓国、中国など、東アジア地域に多いというデータがあると。

日本の中でも5万人の方が亡くなっているということで、これについては、いろんな研究機関の中では、ヘリコバクター・ピロリ菌というのが原因であると認定がされているということで、こういう原因がわかっている。それに対しては予防ができるのではないかということで、特に50代以上から増える、急激に死亡率が高くなる胃がんについて、ピロリ菌の除去と血液検査といったものを予防検診としてやるべきではないかということをお話をされていました。これからは、治療から予防へといった観点が大変必要になってくるのではないかと思っております。そういう観点から、我が区でも、がん対策推進条例が今度4月から施行されるという、また昨日もがん対策の区民大会が行われたということで、大変に機運が盛り上がっていると思います。

その中で、重なるかもしれませんが、特に女性の健康と命を守る子宮頸がんワクチンについても、同様にヒトパピローマウイルスというのが原因であるということがございました。これのワクチンが開発されたということで、2006年にアメリカを初め、諸外国で初めて承認されて100カ国以上で使われていると。日本では2009年10月に承認されたということでございますけれども、なぜ日本では、最初の質問ですけれども、このワクチンの承認が少々遅れたのかについてお伺いしたいのですが。

○村主池袋保健所長  委員が言われたように、アメリカではカーダシルが2006年に承認されて使用されています。我が国においては2009年ということで、大分遅れていますけれども、種々のことが考えられるのですけれども、この中で歴史的なものがあるのです。いわゆる血液製剤で後天性免疫不全とかという事件がございました。それから、フィブリノゲンでC型肝炎、B型肝炎、そういったことが起こっています。それから、それによって薬事法の改正とかそういうのが非常に行われた。それから、次官通達が出るとかいろんなことがありました。そういうことで、向こうで使っている医薬品がすぐこちらで承認されるということはないような関係になっています。

ただ、今そういうことが問題になってワクチンのディレイが非常にあるのではないかということで、独立行政法人であります医薬品医療機器総合機構というのがございますけれども、そういうところで承認とか、あるいは相談を受けていますけれども、そういう中で、日本、アメリカ、ヨーロッパの医薬品規制調和国際会議というところで合意されたものに関しては、かなり早くやろうということを考えていますので、そういう面では大分これから早くなる。それから、2月28日か3月1日か忘れましたけれども、そういうところで厚生労働省の分科会がございますけれども、その中で医薬品等制度改正検討部会というものを設置するということが決まっておりますので、そういう中で早く承認していこうという動きが、これから加速はされていくと思います。

以上です。

根岸光洋委員  詳しい説明ありがとうございました。
それとともに、ワクチンの効能について、どのようになっていますでしょうか。

○村主池袋保健所長  子宮頸がんワクチンの効用ということで、先日、質問がございましたけれども、HPVに関してはかなりいろんな治験が出ておりますので、その中でHPVに関しては93.5%ぐらいが関与しているだろうということであります。100種類ぐらいありますけれども、HPVの中では。その中の16型、18型が主であろう。それの70%ぐらいをカバーするであろうと。そういうことで、それに対するワクチンを開発したということです。

ワクチンの開発でどういう効果があるかというご質問だろうと思うのですけれども、それに関しては、16型、18型で70%やっていますので、そういうことをやることによってHPVの増殖を抑える。増殖を抑えるというか、HPVのワクチンは特殊なのです。いわゆるマシンのワクチンであれば、マシンのウイルスが体の中に入ってきて撃退すると言われているのです。ところが、HPVのワクチンの場合には、入ってくる前に撃退してしまう。だから入ってこないという作用があるということです。

それを、実験的にというか、治験の段階でずっと見てみますけれども、大体7年ぐらいの治験がございますけれども、その中でウイルスに対してどのくらい効果があるか、中和抗体というのがあるのですけれども、その抗体価を調べてみる。そうすると、アジュバントのASOの4というのが入っていますから、そういうものの効果を比べて大体それが20年ぐらい持続するであろう。

それから、それだけではないのでもう一つ、一番問題は、本当にそうなのかということがございますので、実際に実験された方のウイルスが入っていないという状態で、その後の普通の生活の状態をされた段階でずっと見てみます。それで、その中でHPVによる感染がワクチンを打ったことによって起こらないという効果がありますので、それを総合して考えれば、打ってから20年ぐらいであれば効果が持続すると言われております。

以上です。

根岸光洋委員  ありがとうございます。
今、20年ぐらい効果があるのではないかと、これは実際まだ打たれてから期間がたっていませんので今後の検証になると思いますけれども、そういった意味では、10代の中学生、女性に対して接種するということは、その方がちょうど妊娠、出産を迎える時期に、そのワクチンによって子宮頸がんが防げるという考えがあるのではないかと私もお聞きをしております。
そういう中で、例えば不妊症になるとかということも言われていますけれども、またこういったことについてはどうなのですか。

○村主池袋保健所長  いろんなことが、いろんなところで討議されています。不妊症であるとか流産であるとか、いろんなことが言われていますけれども、流産に関しては、「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という英国の雑誌がございますけれども、それでは流産率はないだろうと。それから、不妊症に関しても、これは長年統計をずっととっていないとそれ以上はわからない。絶対ないという証明は、あらゆるワクチンでできないのですけれども、そういう中で見ても、実際に2006年に米国の十何州か何かで始めているはずです。それから、治験の中では13歳、14歳、15歳と限定していませんので、そういう段階で見てみると、いわゆる不妊症ということは証明されていないということでございます。

根岸光洋委員  ありがとうございました。
時間があまりなくなってしまったのですけれども、私が調べたところによりますと、接種率というのが、先進国という始まったところは90%近くあると。特にそういうところは、大半が公費の負担となっているということです。1回当たり四、五万円するというので、特に、例えばお隣の韓国では公費負担がないために、2%から3%しか接種していないという実態があるということで、やはり公費で負担するということが接種率を大幅に上げていくということがわかっております。

また、先程、所長からお話があったように、20代、30代の若い女性が子宮頸がんにかかりにくくなることによって、少子化対策、またはそういった経済的な効果、そしてまた医療費の軽減にも大きく役立っていくという意味では、私どもの党としても推進しました子宮頸がんワクチンをさらに接種を高めて、女性の健康を守っていきたいと考えているところでございます。

また、特に男性への接種という4価ワクチンというのもあるとお聞きしていますけれども、日本ではまだそれは承認されていないということですけれども、将来的にはそういったものも出てくると思っております。

最後になりますけれども、特に今回は、がん対策基本条例の中で学校教育の中でもがん教育をしていくということで、特に子宮頸がん及び子宮頸がんの予防に関する正しい知識の普及、子宮頸がん予防措置に関する意識の啓発ということがうたわれています。この正しい知識について、何をどうやって教えることが正しいのかという観点から、教育委員会からお答えいただきたいのですが。

○山本教育指導課長  がんに関する教育についてでございますけれども、まず、基本的な知識として、日本人の2人に1人ががんになると言われている。こうした本当に基礎的な部分が必ずしも学校教育の中で取り上げられていないという現状もございます。がんだけを取り上げて指導する機会がこれまで少なかったということ、唯一、未成年者の喫煙との関連で取り扱われることはあったのですけれども、なかなかそういう正しい知識・理解は、重要であるにもかかわらず、これまで取り上げられてきていないということで、私ども、豊島区で学ぶ子どもたちには命の大切さを教えたい、がんに対する正しい知識を身につけることで早期発見や早期予防の意識を高めていきたいということをねらいとしております。

根岸光洋委員  まとめますが、ぜひ、がん対策について、我が区でも全国に先駆けて、様々な形で命を守る、健康を守る、そして女性の暮らしを守るといった子宮頸がんワクチンの接種も始めましたので、今後も引き続き学校教育、また保健所、医師会等を含め、区民の皆さんとともどもに推進を図っていきたいと私も強く望むところでございます。

以上で、質問を終わります。